トップへ戻るhome

APHEX 社について

APHEX 社は 1975 年に米国マサチューセッツ州に設立されました(現在はカリフォルニアに本拠を置いています)。

同社が最初に開発した製品は、原音に倍音を付加していくことによって音圧と音の抜けを増してエンハンス効果を得ることのできる「Aural Exciter」でした。Aural Exciter Model 602 は APHEX 社最初のビッグ・ヒットとなって多くのアメリカのスタジオに導入されました。

Legacy Exciters

左:Aural Exciter:試作機、右:Model 602(当初録音時間 1 分につき $10 のレンタルだった)

その後、Aural Exciter シリーズは低域専用回路の「Big Bottom」を搭載した Model 104 へと進化し、1993 年度の TEC Award の Signal Proccesor 部門にノミネートされました。Model 104 は音質面とコントロール面でさらに進化して Model 204 となり、現在はそれをさらにリファインした「EXCITER」がリリースされています。この、イコライザーでもコンプレッサーでも他社のエンハンサーでも出すことのできない図太くもクリアでキレのあるサウンドは、本国アメリカはもとより世界中のサウンド・クリエイターたちに重宝され、Exciter は音質にこだわるプロのセッション・ベーシストからの信頼も厚い製品となっています。ポール・マッカトートニー氏は自身のバンド「Wings」の全米ツアーで Aural Exciter を使用しました。1970 年代後半から 1980 年代前半の多くのポップ/ロック・アルバムに「APHEX Aural Exciter」の名がクレジットされています。Aural Exciter の急速な広まりは各雑誌上でも話題となりました。

LP Jackets

Aural Exciter のユーザー:Wings の米国ツアー(左上)、Aural Exciter を用いたレコーディングの例

APHEX 社の代表的な製品は Exciter だけではありません。Model 107 は真空管搭載のマイクプリとして開発され、その音楽的な音質と製品スタイルによってレコーディング・スタジオだけではなく、多くのクリエイターやミュージシャンの自宅スタジオにも導入されていきました。この Model 107 は 1995 年の TEC Award Ancillary Equipment 部門を受賞し、APHEX のマイク・プリアンプは名実共にブティック・マイクプリの仲間入りを果しました。

その Model 107 の後継機として開発されたのが Model 207D です。新開発のリミッター「MicLim™」、デジタルアウト、D.I. を装備し、DAW でのレコーディング環境にマッチした製品となっています。

MODEL 207D

Tube Microphone/Instrument Preamp、Model 207D

APHEX 社は多くの特許回路を持っています。「Aural Exiter」と「Big Bottom」もその 1 つですが、「EasyRider Compressor」や「Logic-Assisted Gate」はその特許回路の中でも最もユニークで革新的なものといえます。
Model 108「EasyRider Compressor」は 3 つの APHEX 特許回路で構成されています。WDC(Wave Dependent Compressor)は入力ゲインに応じて圧縮時間を自動調整する回路です。No-Knee は入力ゲインによってレシオを自動調整するコンプレッサー・カーブ制御回路です。もう 1 つの特許回路は今までに多くの業務用レコーディング/マスタリング・スタジオに導入されて高い評価を得てきたコンプレッサーである「Compellor/Dominator」に搭載されていた同社オリジナルの Class A VCA 回路です。「EasyRider Compressor」はコンプレッサーの知識がなくても簡単にプロフェッショナルなコンプレッサー・サウンドを手に入れることができるユーザーフレンドリーな製品であると言えます。
Model 622「Logic-Assisted Gate」はロジック制御による独自のレベル検知回路で自然な音質を維持しながら正確で安定したエクスパンションとゲーティングを実現するエクスパンダー/ゲートです。

MODEL 108
MODEL 622

Model 108「EasyRider Compressor」(上)、Model 622「Logic-Assisted Gate」(下)

その「Logic-Assited Gate」と「EasyRider Compressor」を組み合わせ、さらに両方の回路がベストマッチするよう改良が施された Model 240「Dual Gated Compressor」が誕生しました。ゲートとコンプレッサーを組み合わせたデバイスの大半と異なり、MODEL 240 は両方のテクノロジーをシームレスに統合されたシステムとして作動させるように設計されています。Logic-Assisted Gate が作動すると、EasyRider Compressor はリリースを抑制します。これによって、ゲートが信号レベルを下げようと試みる一方でコンプレッサーが信号レベルを上げようと試みるという矛盾が回避されます。ゲイン・リダクションはゲートが再び開かれるまで「凍結」されます。

MODEL 240

Model 240 Dual Gated Compressor

APHEX は 30 年余の長きにわたるプロオーディオ業界での経験と技術を活かして、今まで紹介したレコーディング・プロダクトだけではなく、ステージや設備向けのデジタル製品、放送局向け製品、AD/DA コンバーター、ギター/ベース用のストンプボックスまで数多くの製品群を開発し、その多くがモデル・チェンジを重ねながら現行製品としてラインナップされています。ギター/ベース用ストンプボックスの開発で培われた「ユーザーフレンドリー」な製品開発が、今までご紹介したレコーディング製品に活かされていることが最も顕著な特徴だと言えるでしょう。