2 台やそれ以上のモニターを並べて(PA システムのように)使うことができますか?
それとも各チャンネルにはもっと大型のモニターを 1 本だけ使う方が良いのですか?
この質問の答えは簡単です:各再生チャンネルには、かならず 1 本のモニターをお使いください。しかし、説明はあまり簡単ではありません。スピーカー・アレーが使われる、よくある場合から始めましょう。
大規模なコンサート用の PA システムでは、ごく狭い指向性を持つシステムを設計する必要があります。これはアレー内の 1 本のスピーカーからの音エネルギーが、そのアレー内の隣のスピーカーからの音エネルギーに干渉しないようにするためです。低域周波数は長い波長を持ちますので、システム効率を高める利点のある「相互カップリング[mutual coupling]効果」が利用されます。中高域はホーン・ローディングのおかげで指向性が高くなっており、例えば 60/40 ホーンは 60° の水平指向性と 40° の垂直指向性を持ちます。したがって、音エネルギーがほとんど重なり合わないので、隣接音源からの干渉による櫛形フィルター効果は回避されます。また、キャビネットはアレーを組むことができますので、聴取領域での総合音圧レベルは高まり、オーディトリアム内のカバーレッジが制御されて、確実に誰もが何かを聴けるようになります。
大半の PA システムの大きな欠点は、パワー特性が滑らかではないことにあります。これは低域は無指向性なのに中高域の指向性が強いためです。また、コンプレッション・ドライバーと併用される長く狭いホーンは高い音圧レベルを確実に生み出しますが、高い音響歪も発生させます。これはスタジオでのモニタリングでは受け入れられません。
モニタリング・システムには逆のことが当てはまります。GENELEC のモニターは、レコーディング・スタジオや、絶対的な精度が要求される厳密なリスニング用に特に設計されたその他の閉空間に適した幅広い指向性を持つように意図的に設計されています。広い指向性は DCW™ 形状によるものであり、これはオンアクシスとオフアクシスの音エネルギー間の滑らかな遷移を可能にして、それゆえ滑らかなパワー特性を生み出します。このことは、リスニング地点での正確な周波数特性を獲得し、ミキシング・コンソールの全幅にわたる一貫した音質の幅広い水平リスニング範囲を確保するためには重要です。
この幅広い指向性の欠点は 2 本のモニターを互いに並べて使われることで、そうすると中域周波数にきつい櫛形フィルター効果が生じます。このときリスナーがモニターの前で動くと、各モニターからの距離が変わり、2 つの音経路の長さが半波長違った場合は、その周波数の完全なキャンセレーションとなります──つまり、空間的に可変な櫛形フィルターであると言えます。この効果は 1〜2 センチメートルといった小さな距離でも変わり、「フェイザー」効果や「フランジャー」効果に少し似た音がします。また、2 つの音源が位相がそろわない状態でサミングされても中高域で音響出力が平均 3 dB 増加するだけです。
この規則の例外は、互いに近づけて配置したときには「相互カップリング[mutual coupling]」という利点があるサブウーファーです。
結論としては:
- 正確な周波数特性を得るには、各再生チャンネルにつき 1 本のモニターだけをお使いください。
- 音圧レベルを高めるには、聴取距離を縮めるか GENELEC のより大型のモデルをお使いください。