オーバーロード保護回路は何をするもので、どのように機能するのですか?
スピーカー・システムを大音量で長時間使っているとドライバーのボイス・コイルの温度が高くなります。最終的にはボイス・コイルが溶けてドライバーを交換しなくてはならなくなります。GENELEC モニターに組み込まれているドライバーのオーバーロード保護はモニターのドライバーを保護するために設計されており、ドライバーの熱性能のモデリングに基づいています。保護回路は信号のダイナミクスには影響しませんので、コンプレッサーではありませんし、ドライバー保護システムはフィルター及び増幅段への信号入力全体を下げますので、リミッターでもありません。このドライバー保護システムがあるので、過増幅を行って信号のダイナミクスを高めてもシステム全体の信頼性は保たれます。
赤い OVL LED が点灯したままになっている場合はドライバー保護システムが動作しており、アンプはクリップしているかもしれません。アンプへの入力信号はドライバーを充分に冷却させて通常の動作に戻すために自動的に減衰されます。このことが繰り返されないようにモニターへの入力信号を下げてください。
赤い OVL LED が点滅している場合はアンプがクリップしたことを示しています。確実にモニターのリニア動作範囲内でリスニングを行うようにモニターへの入力信号を少し下げてください。
注意:8020A、8030A、8130A の各モデル、ならびに生産終了の 1029A、2029A、2029B、1030A には赤い OVL LED がありません。しかし、この保護システムはモニターの長期的な信頼性を確保するために同様の動作を行います。
ソース素材が異なれば観察される効果も異なります。これはクレスト・ファクター(rms レベルに対するピーク・レベルの比率)に依存しますが、典型的な値を下表に示します。クレストファクターはどれも高度に周波数依存であり、値はブロードバンド表示のみである点にご注意ください。また、クレスト・ファクターは、ピーク・レベルと最小レベルとの間の差であるダイナミック・レンジとは別物である点にもご注意ください。
| 音楽の種類 | クレスト・ファクター(dB) |
|---|---|
| 交響楽的作品 | 17.1 |
| オペラ | 15.8 |
| 室内楽 | 14.2 |
| ジャズ | 13.2 |
| スピーチ | 12.9 |
| フォーク | 11.3 |
| ブルース | 10.8 |
| ポップス | 10.6 |
| ヘビーロック | 9.2 |
| ヒップヒップ | 8.2 |
| 正弦波 | 3.0 |
極端な場合を挙げると、交響楽は音楽のダイナミックなスタイルゆえに高いクレスト・ファクターを持っていますので、モニター・アンプはプロテクションが働く前にクリップする傾向があるかも知れません。出力レベルが高いと LED が点滅します。
もう 1 つ極端な例を挙げると、今流行の音楽は制作段階に使われたコンプレッション技術ならびに音楽のスタイル自身のために低いクレスト・ファクターを持っています。高い出力レベルの際、ドライバーの保護システムは増幅段がクリップし始めるよりも早く動作する傾向があるかも知れません。