LFE(.1)チャンネルとは何ですか?

多くの人が LFE チャンネルを「サブウーファー・チャンネル」と呼んでいます。実際、LFE チャンネルはメディア上の .1 エンコードされた(そして通常は帯域制限された)音声チャンネル用のスペースです。サブウーファーはベース・マネージメント・システムと共に特定の低域周波数帯を再生しますので、「サブウーファー・チャンネル」はいわゆる「チャンネル」ではありません。ベース・マネージメントが使われるかどうかとシステムがどのようにセットアップされているかに応じて、サブウーファーへのフィードは LFE チャンネルを、またはメイン・チャンネルの低域を、あるいはその両方を含みます。

5.1 の音声制作では、5 つのメイン・チャンネル(Left、Centre、Right、Surround Left、Surround Right)はどれもフル帯域幅(つまり 20 Hz 〜 20 kHz)です。エンコーディングの前では、LFE チャンネルは帯域制限されていません。つまり LFE チャンネルも、もう 1 つのフル帯域幅のチャンネルです。下図は 6.1 制作の各チャンネルの音声帯域幅を示すもので、録音段階では 6 番目のリア・サラウンド・チャンネルもフル帯域幅になっています。

LFE チャンネルのエンコーディング

LFE チャンネルはエンコードされると、普通は制限された帯域幅を持つことになります(それゆえ「.1」というラベルです)。このエンコードされた帯域幅は 20 Hz から、エンコーディングの形式に応じて様々な上側のカットオフ周波数までにわたります──下表をご覧ください。ただし、最近のマルチチャンネル・フォーマットによっては、エンコーディング段階のあとでも LFE チャンネルがフル帯域幅のままになるために、この原則から逸脱するものもあります。そのような場合、「.1」という命名は技術的には正しくないことになります。

LFE チャンネル上側帯域のエンコーディングによるカットオフ仕様

エンコーディングの形式LFE 上側カットオフ仕様
Dolby Digital(AC-3)
Dolby Surround EX - 6.1
Dolby TrueHD(7.1)
120 Hz
120 Hz
フル帯域幅チャンネル
DTS Digital Surround
DTS-ES 6.1
DTS-HD(7.1)
120 Hz
120 Hz
フル帯域幅チャンネル[1]
MLP(DVD-Audio)
フル帯域幅のチャンネル
DSD/DXD(SACD)
フル帯域幅のチャンネル
AAC(MPEG-2/4)可変(1 kHz まで)
MPEG-2 BC大半は可変...
SDDS可変(330 Hz まで)

表に関する注1)すべての DTS ‘Coherent Acoustic’ codec 内では、エンコーディング段階において LFE チャンネルは 120 Hz で帯域制限されています。DTS-HD codec では、[DTS-HD Master Audio™(ロスレス)及び DTS-HD High Resolution Audio™(ロッシー)]DTS-HD デコーダーだけが 60 dB/oct. のロールオフを持つローパス・フィルターを LFE チャンネルに 100 Hz で適用します(-3 dB)。


もともと .1 チャンネルは、メイン・チャンネルが低域周波数を再生できず、そのような低域を高い音圧で再生するために付加的なヘッドルームが必要とされた映画館で使われるために開発され、用途によって異なる名前を与えられることがしばしばあります:

Low Frequency Enhancement:これは一般的に使われている名前です。LFE チャンネルはしばしば低音を何らかの方法で「enhance」(強調)するのに使われるからです。

Low Frequency Effects:LFE チャンネルは一般的に高レベルの超低音エネルギーを必要とする爆発音やその他の特別な効果音用に使われますので、この名前がしばしば使われます。

Low Frequency Extension:LFE チャンネルの周波数特性はメインチャンネルと同じ周波数、つまり 20 Hz まで伸びていますので、これは正確な名前ではありません。

LFE チャンネルの使用についてオーディオ業界内には一貫性がありません。映画館やホーム・シアターやデジタル・テレビや音楽のみの制作での要求がどれも大いに異なるからです。 また、マルチチャンネルのサラウンド・サウンド・ミキシングを新たに始めたサウンド・エンジニア達は新しいアイディアや技法を試し続けています。

様々なマルチチャンネル・エンコーディング/デコーディング処理が存在しますが、あらゆるフォーマットに対する一貫した特長としては、メイン・チャンネルはどれもフル帯域幅のままで、上述のように LFE チャンネルは様々な上側カットオフを持つ(フル帯域幅の場合もあります)、ということがあります。