Dolby Digital や DTS 5.1 システムではサブウーファーのレベルを 10 dB だけ上げるか下げるかして合わせる必要があるのですか?

この件に関しては業界は混乱しています。説明は複雑に聞こえるかもしれませんが、間違えを犯さないためにも、理解しておくだけの価値はあります。

LFE チャンネルのヘッドルーム

LFE チャンネルがメイン・チャンネルと同じレベルに調整されていると、音量の大きい爆発音のような効果音は簡単にテープ(またはハードディスク)録音機をオーバーロードさせてしまいます。そうなると、大きな効果音専用のチャンネルを持つ意義がなくなります。このような問題に打ち勝つために、LFE チャンネルは名目上メイン・チャンネルよりも 10 dB 低くテープに録音されますので、テープ上で 10 dB の余分なレベル(ヘッドルーム)が利用できるようになります。なお、ヘッドルームのこの増加は S/N 比を 10 dB 犠牲にしますが、LFE チャンネルはエンコーダー内で結果的には帯域制限されますので、それだけの価値はあります。

これはスタジオ内で実際にはどのように実現されているのですか?

映画業界は長年にわたって次のようなチャンネル割り当て方法を使ってきています:
ミキシング卓からの LFE チャンネルのモニター出力にはスタジオのモニタリング・システムへの入力の手前に +10 dB のレベル変更があります。テープまたはハードディスク・レコーダーへの出力にはレベル変更がない点にご注意ください。結果として、テープに送られる LFE チャンネル出力は自然にメイン・チャンネルと較べて 10 dB 低い基準レベルでミックスされます。言い換えますと、スタジオ内ではエンジニアは全チャンネルを均等なバランスで聴いていますが、テープ・レコーダーは LFE チャンネルをメイン・チャンネルよりも 10 dB 低く録音していることになります。これにより LFE チャンネルにはメイン・チャンネルと較べて 10 dB のヘッドルームが与えられることになり、アクション映画の制作によくある大きな銃声や爆発音はレコーダー上で歪なしに 0 dBFS 以下のままを保つことができます。

LFE チャンネル・レベルはメイン・チャンネルよりも 10 dB 低くなっていますが、家庭ではどうやって音の再調整を行ったらよいのですか?

民生用および業務用の Dolby Digital 及び DTS 5.1 プロセッサーは自動的に LFE チャンネルに 10 dB を加えて、メイン・チャンネルと LFE チャンネルとの間のレベル・バランスを元々スタジオ内で聴かれたときのように復元します。

ではスタジオや自宅のモニターをどのように調整すればよいですか?

サブウーファーの音声出力レベル(サブウーファーの周波数で)はメイン・スピーカー・システムの音声出力レベルと同じである必要があります(他の周波数で)。プロセッサーの LFE 出力をサブウーファーの LFE 入力に接続してください。正しい再生を行うために、この LFE 入力は他の全信号入力と同じ感度を持っています。これは正しく動作します。+10 dB のレベル変化は必ずミキシング・コンソールやサラウンド・サウンド・プロセッサー内に組み込まれているからです。

正確なモニタリングを行うにはメイン・チャンネルの音響性能は平坦な周波数特性を持つ必要があります。このことは、「よくあるご質問」の「5.1 システムのレベルはどのようにして合わせるのですか?(ピンクノイズをテスト信号として使って)」に記載されているようにメイン・チャンネルの周波数特性をキャリブレートすることによって達成されます。

中規模のミキシング・コンソールはものによっては、そして小型コンソールの多くは +10 dB ゲインを LFE に適用する機能を備えていません。このような制約を克服するために、7050B、7060B、7070A、7071A、7073A は LFE チャンネルに正しい再生に必要な +10 dB ゲインを与えるための +10 dB LFE ゲイン DIP スイッチを備えています。しかし、例えば、すでにゲイン段が自動的に適用されているデコーダー出力を聴くような場合には、LFE チャンネルに +10 dB ゲインを 2 回持たせないようにしてください。

下記のブロック図は再生経路全体を示しています: