コントロール・ルーム内にスピーカーを正しく配置する

  • スピーカーの放射空間を考慮しましょう。
  • 壁での反射は周波数特性を変化させます。
  • スピーカーをスタンドに載せて配置する場合の推奨事項を守りましょう。
  • 正確な対称性は正確な音場のイメージングを生み出します。
  • リスナーに向けてスピーカーを傾けましょう。
  • テレビ/映画のモニタリングには高さと幅の問題があります。
  • ルーム・モード(部屋の音響的な特性)と戦いましょう。

スピーカーの放射空間

回りを囲まれたダイナミック・スピーカーのドライブ・ユニットは、その前面放射空間が全空間もしくは半空間(つまり球体または半球体の放射)の場合にのみ、理論的に理想的な動作条件を獲得することになります。

実際には、第一にスピーカー・キャビネットのフロント・バッフルの有限の大きさのために、そして第二にドライブ・ユニット自身の大きさのために、周波数が高まるのにつれて放射角度は狭まります。スピーカーが壁の近くに配置された場合、その壁は低域に関してはスピーカーのバッフルの延長として機能し、スピーカーの周波数特性が変わって、低域のブーストが感じられます。
> より詳しくは、放射空間についての解説をお読みください。

直接音に干渉する壁面反射音

自立させた(スタンドに載せた)スピーカーは普通、反射を生じさせる境界(壁、天井、床)によって取り囲まれています。これらの境界はスピーカーの放射に対する音響的な鏡面として機能し、リスニング・ポジションにおける反射音と直接音との間の位相差に応じて、直接音を強めたり弱めたりします。

周波数が高まるのにつれて境界反射の問題は少なくなります。これは従来のスピーカーの指向性は周波数と共に高まるためです。これが境界反射が主に低域で問題を起こす理由です。

低域でのごく一般的な問題は、スピーカーの直接放射とスピーカー後背壁からの反射音との間の干渉です。低域においては、この反射は直接音の逆相になるまで遅れることがあります。直接音と間接音の相対振幅によっては、周波数特性にキャンセレーションのディップ(普通は深さ 6 〜 20 dB)が生じます。
> スピーカー後背壁キャンセレーション問題を克服する方法について詳しくはこの解説をお読みください。

スピーカーを自立配置する際の推奨事項

スピーカーをフラッシュ・マウントすることには多数の利点がありますが、普通は費用がかかりますので、大抵の場合、特に小規模な設置では、スピーカーはスタンド上に自立配置されます。上述のように、自立させたスピーカーの性能には様々な境界からの反射が影響を与えます。
コントロール・ルーム内にスピーカーを正しく配置する方法について詳しくは次のページをお読みください:
> スピーカーを自立させる
> 自立させたスピーカーをサブウーファーと一緒に使う

正確なイメージングのための対称性

ステレオ・ペアというシンプルな例を考えてみると、正確なステレオ・イメージングを生み出すには 2 台のスピーカーは正確に同じような周波数特性を持つ必要があります。2 本のスピーカーがそれぞれ境界から異なる距離に配置されると、各スピーカーの周波数特性境界反射によって別々に変化されます。 両方スピーカーに似たような周波数特性を保たせるには、充分に注意してスピーカーのペアをリスニング・ルーム内に正確に対称配置する必要があります。

ステレオ再生の場合にテーブルやディスプレイやラック等の配置は重要ですが、このことはマルチチャンネルのコントロール・ルームの場合にはさらに強まります。直接音と較べて大きな振幅を持つ初期反射は音像の凝縮に滲みを生じさせ、空間内における音源の定位を劣化させることがあります。これを避けるために、スピーカーとリスニング・ポジションとの間にある反射性の表面を最小限に抑えてください。もちろん、機材があるのは避けられませんが、機材を対称的に配置することは欠かせません。

また、正確な音場のイメージングを保つにはリスニング・ルーム自体がスピーカー間の中心線について対称である必要がある点にもご注意ください。普通、このことは現代のコントロール・ルーム・デザインにも当てはまります。

スピーカーはリスナーを狙って

周波数が高まるにつれてスピーカーの指向性は自然に高まります。そしてスピーカーにはレスポンスが最適化されている音響軸があります。GENELEC モニターのレスポンスは幅広いリスニング範囲が得られるように特別に最適化されています。モニターはリスナーに向くように配置してください。リスニング・ポジションでの周波数特性を測定し、必要であればルーム・レスポンス・コントロールを調節して周波数特性の適正バランスを得てください。

スピーカーとリスナーの耳は同じ高さにすることが望ましいのですが、同じ高さにスピーカーを置けないことがしばしばあります。スピーカーの方が高くなってしまう場合は、スピーカーがリスナーを狙うように角度を付けてください。周波数が高まるのにつれて高まる指向性の効果は、これによって取り除かれます。

テレビや映画のモニタリングにおける映像との一体化

映画やテレビ番組をミックスしている場合はスピーカーの高さは特に重要です。また、ステレオ・ベースの幅にも注意を払う必要があります。映画のミキシングの場合、ステレオ・ベースの幅を画像の幅と同じに設定するのが習慣です。しかし、テレビの場合はスピーカーをほぼ標準的なステレオ・ベースに設定します。ただし、テレビ画像はステレオ・ベースよりもずっと小さくなります。この話題は議論が尽きないようですが、ステレオ・ベースの幅に対する判断はサウンド・ミックスに重大な影響を与えますので、様々な討議があるべきでしょう。

ルーム・モードと戦う

回りを囲まれたダイナミック・スピーカーは圧力源のように機能し、壁の近くに置かれたスピーカーは室内の定在波を励振します。この問題を克服する唯一の効果的な方法は、少なくともコントロール・ルームの背面壁で充分な吸音材を使って低域を強くダンプすることです。