トップへ戻るhome
JUNGER_LOGO

Jünger Top | 日本語取扱説明書&技術解説 | 企業情報

日本語取扱説明書&技術解説:リアルタイムの音声ラウドネス制御

一覧に戻る

マルチループ・テクノロジーが提供するラウドネス制御をオートメーションと統合する手段

Peter Pörs 著(Sales & Marketing Director, Jünger Audio)

「制作及び放送業界の音声のプロの方々は、受け手が聞き取りやすくかつ耳にも易しくなるように音声を制御する試みを何十年にもわたって続けてきています。」
3 年前、私はラウドネスに関する記事をまさにこのフレーズで始めましたが、3 年経過して多数のラウドネス制御規制や勧告が出現した今、次のように問いかけましょう:「状況は改善されましたか?」 こんなことも尋ねるべきかも知れません:最初の段階の経験からは何を学びましたか? レベル制御からラウドネス制御への移行は上手く行きましたか? この処理にはボトルネックがあるのでしょうか?

リアルタイム音声制御ソリューション・サプライヤーのリーダーの一員として Jünger Audio は適切な放送ラウドネス管理を確立することを目的とした国際的なフォーラムの多くに関わってきました。このようなフォーラムで様々なソリューションが提唱され、それに放送業界がどのように反応するかを見るのは特に興味深いことです。

音声のラウドネスを制御することは純粋に放送局の仕事だと考える人は多いでしょう。ある程度まではそのとおりですが、ラウドネス・ベースの音声放送の第一段階を見てきた今では、責任があるのは放送局だけではないことが私たちにははっきり分かります。理想的には、この問題はそれが始まる場所つまり制作段階において解決される必要があり、この業界はこの方向に向かうべきです。

理想的には、あらゆる音声素材は、あらゆる番組ジャンルにわたって、送出用に放送局に納入されるときに既存のラウドネス仕様に準拠しているべきです。これは放送局に直接送られるあらゆる素材に対して義務化されるべきであり、各局は素材が自局のラウドネス仕様に適うことをチェックするべきです。適わない場合は、その素材はポストプロダクション施設によって修正されるか受け取りを拒否されるべきです。

もちろん、放送経路内で使われるようには作られていない音声も多数存在しますが、そのようなものをどうしたら良いでしょうか? 制作側に業界のルールに従って貰えるように努力することは可能であり、業界の一部ではある程度はそのようになりつつあります。しかし、結局、私たちは努力を続けることになると思います。というのも音楽及び映画業界は限定された市場に向けて配給を行っていて必ずしも放送のラウドネス規制に適合する必要がないからです。それでも、この素材が放送されるのであれば、放送局が送出の前にラウドネスを制御して適合するようにしなくてはならないことは変わりません。

今は放送局がテープレスの施設へと移行している時期にありますが、放送用に届けられる素材の多くはまさにファイルという形で入ってくると期待できます。このようなファイルはラウドネス勧告に準拠しているかを確認するためにチェックされる必要があります。これはごくテクニカルな処理で、そのためのソリューションがいくつも利用できます。

ファイル・ベースのノーマライゼーションは通常は古典的で単純な固定オフセットのゲイン・ノーマライゼーションであり、ファイルに対してリアルタイムよりもずっと速いスピードで実行されます。プログラム全体の音声コンテンツがすでに分かっていますので、どんな種類の制御も極めて簡単に予見できます。これはファイル・ベースの制御に特徴的なことであり、リアルタイムのアルゴリズムとは違うところです。適用された正のゲインがデジタル的なオーバーロードを生じるかも知れませんのでリミッターは用いられるべきでしょう。このような種類のファイル・ベースのノーマライゼーションがあれば、素材の動的な構造、つまりラウドネス・レンジ LRA は手つかずのままに留まります。LRA が貴局のプロフィールにマッチしている限りそれで十分で問題ありませんが、そうでない場合は動的なゲイン・ベースのノーマライゼーションを使う必要があります。

必要とされるのはラウドネス・レンジ制御であり、これは次の水準へステップアップするための初期的なラウドネス制御を可能にします。広範な研究のおかげで Jünger Audio がソリューションを提供できる1分野があります。長年にわたって Jünger Audioは極めて良好に動作するリアルタイムのラウドネス及びダイナミック・レンジ制御ソリューションを開発してきており、それは Jünger Audio 社の様々な製品で利用できます。今や世界中の無数の TV チャンネルが Jünger Audio 社の技術を用いてオンエア音声や取材音声を制御していますので、ユーザーの方々がファイルに対しても同じラウドネス制御を行う製品が手に入らないかを私たちに問い合わせ始めるのももっともなことです。

このような要求を考慮するには実際に何が行われているかを観察しなくてはなりません。リアルタイム・ベースのラウドネス制御回路は動的なゲイン制御を実行する必要があります。音声がどのように変化するかを予知する手立てはありませんので必要なのは即時的なダイナミック・ゲイン制御です。もちろんこれは音声技師がフェーダー上に指を載せ、ラウドネス・メーターを見つめ、音声に耳を傾けていれば行えることです。音声を人間あるいは機械のどちらを使って制御するとしても、原理は同じです──ダイナミック・レンジは、つまりラウドネス・レンジ LRA は動的なゲイン変化に基づいて何らかの方法で低減されます。この処理が適切に動作しているのであれば、LRA の低減によって聴取体験はもっと心地よいものになり、ラウドネスはきちんと制御されます。これが必要なラウドネス・ノーマライゼーションを行うにあたって広く受け容れられる方法であるように思えます。

残念なことに放送局が現在採用している仕事の仕組みでは、音声技師が作業する余地はもう見つかりません。今日、ラジオそして(特に)TV 放送は完全に自動化され、これらのような従来の作業の多くを行うのにコンピューターやテクノロジーに頼っています。多くの場合、消えてしまった音声技師の役割は LEVEL MAGIC™ テクノロジーが代行していますが、それはそれで良いことでしょう。というのも人々が聴きたいと思うようなサウンドを提供しているからです。良好なバランスの取れた自動ラウドネス制御を達成するのは簡単ではありませんが私たちは LEVEL MAGIC によってこのことを行えていると信じています。なぜなら LEVEL MAGIC は生身の音声技師がするようなフェーダー制御をそっくり再現するのに近いゲイン制御を行うからです。このシステムによって短期の動的な制御だけではなく平均レベル制御(ITU 1770 準拠)も行えるようになります。オペレーターが行う必要のあることは、ソースとは無関係に、そしてブレシングやポンピングや音色の変化のようなコンプレッション/リミッティングの産物なしに連続制御が達成されるように、希望する動作レベルとピーク・レベルを設定することだけです。この処理は異なるフィードからのラウドネス変化や番組部分間のラウドネス差を自動的に考慮し、リスナーが望むような結果を得ることになります。この種のシステムは動的な構造を復元し、聴いても分からないようなゲイン制御を提供する必要もあります。トランジェントやトゥルー・ピークはラウドネス検出では捉えられなかったとしても正確に制御される必要があります。この処理も設定が簡単でプログラム素材に対して適応的である必要があります。そしてこれらのことすべてはわずか 2 ms という非常に短い遅延時間で行われなくてはなりません。

Jünger Audio 最新バージョンの LEVEL MAGIC™、LEVEL MAGIC II™ はこのようなことすべてを実現しますので、クライアントがこのテクノロジーをファイル・ベースのツールにも欲しがるのは当然でしょう。これはリアルタイムの処理を行う必要がない場合にもあてはまります。というのもこれは単純な固定ゲインのノーマライゼーションによって行えるからです(ファイル・ベースの処理はファイルについてはリアルタイムよりも速いことを思い出してください)。
現在、LEVEL MAGIC™ II は Jünger Audio 社の 1U タイプの新型プロセッサー(T*AP テレビジョン・オーディオ・プロセッサー、D*AP4 LM4、D*AP4 LM2-JS)やフレームを用いたモジュラー方式の C8000 システムの専用 DSP カード(C8086+ 及び C8491 コンボ・カード)で利用可能です。これらの製品は SDI エンベデッド・オーディオや AES/EBU やアナログにも使用することができます。ファイル・ベースのオプションを求めるお客さまに応えて、Harmonic 社のファイル・ベースのトランスコーダー「Pro Carbon」や Merging Technologies 社のファイル・ベースのラウドネス制御ソリューション「MXFix」に利用できる LEVEL MAGIC™ プラグインを作りました。OEM ライセンス・コードとして Jünger Audio の LEVEL MAGIC™ を手にすれば、他のメーカーも Jünger Audio のラウドネス制御技術を自社製品に簡単に組み込むことができます。

ラウドネス制御が制作段階で始まり、制御の大半がファイルのノーマライゼーションに基づいて行われるとしても、リアルタイムの制御アルゴリズムへのニーズはなおも存在します。というのもこれがライン及びストリーム制御を適切に行うための唯一の方法だからです。ファイルの場合は、リアルタイムのアルゴリズムはライン処理を用いて達成可能なものに似て消費者の期待にもマッチする音声プロフィールを作る代替手段にもなります。