2014-11-25

Radio Days における LAWO 機材を用いたビデオ・ストリーミングの新たなコンセプト

ドイツの州立放送局 ARD がカールスルーエにて 11 月 5 日〜9 日に開催した Radio Days のイベントには 9,000 人以上の訪問者が参加

ドイツの州立放送局 ARD が 11 月 5 日〜9 日にカールスルーエの芸術メディア技術センター(ZKM)にて開催した Radio Days(Hörspieltage)のイベントには 9,000 人以上の訪問者が参加しました。このイベントでは生のラジオ・ドラマやインタビューを含むプログラムのほか,栄えあるドイツ・ラジオ・ドラマ賞(Deutscher Hörspielpreis)の授賞式を観ることができました。ラジオ放送される以外に,このイベントはライブ音声とビデオのストリームとしてインターネット上で放送され,また後日放送局のメディア・センターからダウンロードできるように記録されました。

このようなストリーミング制作に ARD が自らに課した品質基準は通常制作のものに近いものでしたが,使える予算は少なめでした。経験的にこういうことは何らかの深刻な問題を発生させるものですが,ARD が Radio Days の際のテスト・セットアップで実証してみせたように,新しい技術的コンセプトはこのジレンマに対するソリューションを約束するものでした。

Radio Days のイベントは ZKM 施設内の異なる会場内で開催されました。例えばドイツ・ラジオ・ドラマ賞の授賞式は大ホールで執り行われ,インタビューはその目的のために特別に作られたラウンジで行われました。使われたのは4台のカメラで,その信号を音声及びコミュニケーション信号と共にコントロール・ルームに送る必要がありました。Sascha Schwoll と Wolfgang Goetz の両氏(どちらも ARD の放送担当者)はこれを効率よく柔軟に遂行する方法を考案しました。このコンセプトの中心に据えられたのが数台の LAWO『V__link4』Video-over-IP プロセッサーと『crystal』ミキシング・コンソールです。「各会場に LAWO『V__link4』を1台ずつ置くことで各会場間であらゆる種類の信号をやり取りできました。『V__link4』はマイク信号を集める『crystal』のコア1台と共に会場内の小さなステージボックス内に納めました」と Schwoll 氏は解説します。「各会場からの4つのカメラ・フィードのビデオがあり,それ以外にカメラ・オペレーターたちのためのプログラム・モニタリング信号,インターカム信号を含む音声,タリー用の GPIO 制御信号もありました」。

これらの信号はすべて『V__link4』に集められて1本の 10-Gbit/s イーサネット接続でコントロール・ルームに送られます。「従来の作業方法では何本ものケーブルを使うことになったでしょう」と Schwoll 氏。「そうなるとプログラム・モニターが本当に必要かどうか自問することになります。そしてインターカム信号のために専用のインターカム・ユニットをセットアップしなくてはならなかったでしょう。Radio Days ではマイク信号を変換し GPIO をエンベッドするために現場に配置した『crystal』コンソールを使うことでこれを行いました。インターカムは『crystal』に搭載された『InterCom Tool』によって制御されます。カメラ・オペレーターたちから音声信号を取り出してそれをビデオ信号にエンベッドしたのです。それで一件落着です」。

信号はコントロール・ルーム内のさらに2台の『V__link4』ユニットが受けて1台の『V__pro8』に送り込まれます。ビデオ・ミキサーは4系統のビデオ信号しか扱うことができないので,この『V__pro8』は手前に配置されたビデオ・マトリクスとして機能します。

柔軟性以外にも LAWO 機材を使用することの様々な利点が明らかになり,さらなるコスト削減にも繋がりました。例えば『V__pro8』のクワドスプリット出力はカメラの三脚に取り付けた iPad に WLAN を介してストリーミングされましたが,これによって各カメラ・オペレーターは現在の状況について完璧な全体像を持つことができ,それに従って皆が絵を撮ることができました。「今回のような小規模イベント向けにビデオ・ストリームを作成する場合,単純に別のワークフローを採用します──OB トラックを使うもっと大きくて複雑なものよりも,小回りが利いてスリムなものですね。大掛かりな制作をやるときはリハーサルを行うのがつねで,各カメラ・オペレーターにはカメラ・スケジュールが記されたクリップボードが手渡されますので『OK,シーン1ではロングショットを撮り,シーン2ではクローズアップする』のように各人は正確に分かります。小規模なストリーミング制作をするときはリード・タイムはずっと短いです。基本的に,詳細なリハーサルやカメラ・スケジュールなしにこの制作を開始しています。『V__pro8』のクワドスプリット出力は実に便利な機能で,追加インフラに金を遣う必要がなくなりました」。

Radio Days に対するアプローチはこの種の制作に対する放送局の経験の幅を広げるために設計されたテスト・セットアップを用いました。数日使用した後の感触は極めて肯定的なものでした。Sascha Schwoll 氏:「結果は実に素晴らしいものでした,特にこの出力を作るのがいかに容易かったかを思うとね。以前はこのような結果は不可能か,もっと沢山のリソースを投入してのみ可能でしたから。特に今回のようなフェスティバル中に,ここで1時間のストリーミングをやって,あそこでまた別の1時間のストリーミングをやって,その後にインタビュー・ラウンジからのインタビュー... のようなことをたった1チームが1セットの機材だけでできてしまうのです。このシステムによって私たちは効率よく高度の拡張性を手に入れたことになります。大きな OB トラック内にいる同僚たちに匹敵する水準の品質を提供でき,このことは巨大な制作からローエンドのスリムで柔軟で小規模な制作まで制作の幅を広げるのに役だってくれるでしょう」。