2013-07-23

As much as you need

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RAVENNA audio networking and Lawo at work at the Church Convention (“Kirchentag”) in Hamburg.

ハンブルクで 5 月 1 日から 5 日まで催された第 34 回全ドイツ・プロテスタント教会大会(キルヒェンターク『Kirchentag』)の 2,500 を超えるイベントの最後のものである閉幕の礼拝だけでも 13 万人が参加しました。報道機関にとっても伝えなくてはならないことが沢山あり,そして聖書にも記されている今回のキルヒェンタークのテーマ『あなたが必要なだけ〜So viel du brauchst』が,報道センターのラジオ放送技術にも難しい課題を投げかけることになりました。ARD の様々なラジオ局からの約 40 人の編集者たちが現地にいて,当然のことながら各人が自分の必要とする信号を聴きたがったからです。技術面においては LAWO 社のテクノロジーと RAVENNA 音声ネットワークが中継放送を滞りなく行うという重要な役割を果たしました。

NDR の主導で 400 平方メートル以上の広さのあるラジオ放送センターが作られ,ARD の各放送局のエディターたちが意のままに使うことできる作業場となりました。さらに自走式スタジオが 2 輌,技術サポート付きのスタジオが 3 つ,そして中央コントロール・ルームが 1 つありました。建物の前にはいくつかの局が自社の OB バンを駐めていて,そこにも信号を供給する必要がありました。

建物の前の各 OB バンは光ファイバー・ケーブルでつながれ,そこに 3 本のバーチャル LAN が構築されました。第 1 のバーチャル LAN は OB バンを各 ARD 部門のホーム・ネットワークに接続するのに使われ,第 2 のバーチャル LAN が一般的なインターネット接続を提供し,第 3 のバーチャル LAN 上に RAVENNA のストリームが作られて,そこに OB バンはコントロール・ルームから音声を供給しました。ここでは安全のために適切な帯域幅を確保する QoS(Quality of Service)を備えたネットワークが敷設されました。トラック内にはエディター用のモニター・スピーカーがあり,RAVENNA を介した接続用に 1 台の Axia xNode があって 8 チャンネルを受信でき,信号選択用に LAWO の『KS-16 ETH』インターフェイスが 1 台ありました。この『KS-16』はコントロール・ルーム内の 1 台の LAWO『crystal』につながっていて,それは自身の RAVENNA インターフェイスを介して,RAVENNA による 8 チャンネルの信号選択を自由に行いました。

RAVENNA を用いたソリューションは興味深いものがあります。というのもこれはイーサネット・ベースのオープンなシステムだからです:「この Layer 3 技術を用いて私たちはこのシステムを既存のネットワーク内で使うことができます。他のソリューションのためにまず新しくケーブルを敷設しなくてはならない,ということでしたら何か得になるものがあったでしょうか? 既存ネットワークを用いることでコストが大幅に低減されます」,と SWR のラジオ放送の送出責任者で大規模イベント時の ARD のコアチームの一員でもある Sacha Schwoll 氏が説明します。NDR のリーダーシップの下,キルヒェンタークのセットアップを計画・実行したのは同氏です。

全部で 9 台の LAWO『crystal』コンソールが使われました:4 フェーダーの 2 台が自走式スタジオのキャビン内に,8 フェーダーの 3 台がスタジオ内に,12 フェーダーの 1 台がコントロール・ルーム内にあり,そしてコントロール・パネルのない『crystal』ベース・ユニット 3 台が信号分配のためにエディター用キャビン内に置かれ,それらは信号のスイッチングのためだけに使われました。音声信号の集中管理は 1 台の『Nova29』上でタッチスクリーン・ソフトウェア『VisTool』を用いて行われました。報道センター内では最大 12 のイベントが同時に伝送され,さらに,例えばニュース放送のストリームを追加することで,全部で 16 本のフィードが作られましたが,それらは報道センター内で同時にスタンバイしている必要がありました。全キャビン及び OB バン内のエディターたちはいつでもあらゆる関連フィードを聴ける必要がありました。

著名なトーク・ゲスト
2 輌の自走式スタジオではトークの生放送を行ったり,例えばインタビューを行ってデータとして送信するための予約が可能でした。ハンブルクにいるこの車の中では,運転席の技術者やエディターによって著名なゲストにヘッドセットを付けてもらって,それを使ってケルンの WDR とつなぎました。WDR はインタビューを生放送したり録音したりしました。

エディター用キャビン内には小型のモニター用機材と LAWO『KS-16』が 1 台搭載されていました。この『KS-16』を用いてエディターたちは希望する信号をその都度選択することができました。制御を管理しやすいように,エディター用のキャビンは 5,6 個のキャビンにグループ分けされ,それぞれには『crystal』のベース・ユニット 1 台ずつから音声が供給されました。これらのベース・ユニットはコントロール・ルームの『Nova29』から MADI を介して信号供給を受けました。

展望
将来,RAVENNA はこのような仕事をもっと効率よく行うためのソリューションとなることができるでしょう:「必要とする RAVENNA ストリームをエディターたちが単純に自分のノート PC 上で選択できるようにする計画があります。そして,個々のエディターに信号を供給することに加えて,私は ARD が決めたマルチキャストも思い描いていますが,これは実現すれば先に言ったように信号を分配することが可能になるでしょう」,と Schwoll 氏は話を続けます。

次に控えている出番は 9 月 10 日からの開催が予定されているフランクフルトの図書見本市ですが,スタジオでは電動フェーダーとタッチスクリーンを備えた『sapphire』コンソールが使われることになっていてさらなる可能性が提供されます。また,上述の RAVENNA に接続したノート PC を用いるソリューションが可能になり次第用いられるはずです。これはこのような催事にこのシステムを用いることにした理由でもあります。「LAWO が大規模なイベントで目立った活躍をしているのは事実ですが,このような小規模な枠組みでも LAWO は非常に役に立ちます。大型の LAWO コンソールと多数のチャンネルを使う用途との違いは,今回のようなラジオ放送用の設置には確かに存在します:ここではチャンネル数は少ないですので,既存ネットワークを使うことの方がラジオ分野で RAVENNA を用いることにとっては重要な話題です」と Scholl 氏は話を結びました。